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2019.4.26

補聴器は単に「耳が聞こえるようになる」ツールなのか?~補聴器とQOLの関係~

「補聴器をつければ耳が聞こえるようになる」のは、どんな方でもご理解いただけるのではないかと思います。しかし、その「聞こえる」ことによって、「生活のあらゆる側面で変化がもたらされる」ということについては、お客様や家族、そして補聴器のフィッティングを行っている私たち販売従事者にとってはよりリアルな体感であり、その変化がお客様の生活上の改善につながり、そこに補聴器の素晴らしさを感じることも多々あります。

生活の質(Quality of life)を向上させることは、超高齢社会の我が国でも非常に重要なテーマとして挙げられています。身体的な側面だけでなく、精神面においてもより健康な状態でいることは特に重要なことです。補聴器は、身体的な視点で捉えると、難聴という耳の健康が衰えた状態に対してケアするものです。補聴器をつければ、衰えた聴覚機能の一部を補い、若くて健康なときのようにはならないものの、音が聞こえるようになります。では、精神的な側面から見るとどうでしょうか?「聞こえない」ことにより、どれだけのストレスがあるのか、「聞こえる」ということが生活の質にどれだけ寄与しているのか、少し想像してみましょう。

もし耳が聞こえなかったら・・・

以下に思い当たる点を挙げてみました

● コミュニケーションの課題

⇨音声を媒介としたコミュニケーション(会話など)において、全く情報が入らなくなってしまうため、相手が何を言っているのかわからない

⇨相手の表情など視覚的な手がかりはあるものの、アクセントやイントネーションなどによる、言葉の端々に込められた「話し手の感情」が汲み取りにくくなる

⇨同じコミュニケーション手段(音声)を持たない場合、その人ができるコミュニケーション手段からの翻訳が必要になるため、スピード感が保てなくなる(双方が「ろうあ者」の手話によるコミュニケーションは、見ていてもテンポが早く圧巻ですよね)

● 生活上の問題

⇨あらゆるシグナル、例えば、車のクラクション、電車の発車ベル、後ろからの声かけなどが聞こえない場合、危険を察知する力が低下する(カバーするには視覚を駆使するが、背後の気配をどうやって察知すればいいでしょうか?)

⇨程度の差はあれ、音楽を好む人にとっては、それが楽しめなくなることで精神的な満足が得られにくくなる

⇨自然が好きで、四季折々の変化を楽しみたい場合、そこから音情報が無くなったらどんな印象になるでしょうか?草原を駆け抜ける風の音、鳥のさえずり、木々の葉が風によって擦れる音、荘厳な滝の水しぶきの音、梅雨の時期に軒下で聞こえる雨の音・・・もしそれらがなかったら、私たちは自然の奥行を感じにくいかもしれません

いくつか挙げてみましたが、耳が聞こえないことで起こる問題や失われる世界があることを想像すると、聴覚からもたらされる刺激がいかに生活の質を支えているかがわかります。

補聴器を装用しているユーザーからの声

2018年に日本補聴器工業会より発表された、国内補聴器市場の調査報告「Japan Trak」の中に、「生活の質(QOL)向上に寄与する補聴器の役割」と題して、補聴器装用者が補聴器によって、どれだけ生活の質の向上が得られたかなどのアンケート結果がまとめられています。

補聴器所有者の89%が補聴器の使用により生活の質(QOL)が何がしか改善したと答えている

総評としては、9割近くの方が生活の質の改善を感じているようです。
冒頭でも述べましたが、補聴器の現場でのリアルな体感がこの数値に現れているように感じます。

以下、詳しく見ていきましょう。

「あなたが補聴器を使い始めてから、補聴器のおかげで改善したと思う側面はどれか?」
という問いに対しては以下のような結果となりました。

補聴器はさまざまな側面に対して大変良い影響を与えている。特に「安心感」「会話のしやすさ」「自分自身の気持ち」などに改善が見られる。

詳しくみていくと、「安心感」については48%が「良くなった、とても良くなった」と答えています。続いて、「会話のしやすさ」は40%、「自分自身の気持ち」は36%、「自信」「精神力・気力」がそれぞれ33%、「社会的活動」「精神的・感情的な安定」は32%の方が肯定的な回答をしています。
一番改善が見られた「安心感」が48%ということですが、これが高いのか低いのかについてはまだまだ議論の余地はありそうですが・・・
総じて、「聞こえる」ことがユーザーの感情・気力・活動に前向きな影響を及ぼしていることが分かります。

そして次は生活場面における質問です。
「あなたは補聴器を使用してから街に出かけることに自信を持つようになりましたか?」という問いに対しては、7割の方が以下のように答えています。

自動車の近づく音、横断歩道を渡る時の信号音がよく聞こえるようになったなど、街中を安心して歩けるようになった。

社会生活を送る上で、外に出ていくことは非常に大事なことです。聞こえないことで心理面だけでなく、実際的な問題として「外を歩くこと」に危険があれば安心して出掛けられません。補聴器はそのような側面にも良い影響を及ぼすことがアンケートでも証明されました。

補聴器をつけることによってもたらされる生活の質の変化は、概ねポジティブなものが多いことが少しでもお分かりいただけたと思います。しかし、このような成果を得るには、補聴器を使おうとするユーザー様の意欲、ご家族の協力、フィッティングに携わる私たち販売従事者の技術が不可欠で、これらが一体になって初めて成り立つものと考えています。
私たちヒヤリングストアのスタッフも、日々の研鑽を通してお客様の生活の質の向上に貢献できますよう、たゆまぬ努力を重ねていきます。

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