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2017.8.9

両耳だと高額……それでも補聴器を両耳に装用した方がいい理由

補聴器は悪くなった方の耳だけにすればよいのか?

人は右足を骨折すれば右足にギプスをします。耳の場合も同じように、聞こえにくい側だけに補聴器を装用すればよいと思いがちです。確かに機能が衰えた部分を補助するのですから、そう考えるのも当然かもしれません。しかし、「補聴器は悪くなった方の耳だけにすればよいのか?」と聞かれた場合、その答えはそう簡単なものではありません。

補聴器を装用する際の基本的な考え方

補聴器を装用する場合、左右の聴力がほぼ同じなら「両耳装用」
左右差があるなら、より難聴が軽い方にお勧めするのが基本です。
もちろん例外もありますので、それは個々人のきこえの能力との兼ね合いで決めていきます。

補聴器を片耳だけにした場合どうなる?

なぜ、補聴器を聞こえなくなってきた片耳だけにつけてはいけないのでしょうか。
もちろん、何らかの疾病で片方の耳だけが聞こえにくくなった場合は片方だけでよいのですが、おそらくこのコラムをお読みになっている方は、加齢によるものなどで少なからず両耳がすこしずつ聞こえにくくなっている方が多いという前提でお話をすすめていきます。

補聴器を片方だけにした場合、それにはいくつかのデメリットがあります。
まず、人間の耳は左右2つの耳で360度の広い範囲から声や音を集めてきます。耳が2つあることで、音声が立体的に、方向感を持って聞こえるようになっています。両目で歩くときと片目で歩くときではどちらが自然に歩けるでしょうか。言うまでもなく両目で見て歩いたほうが空間認識や距離感が正確に判断できます。耳の場合も同様です。もし片方の耳だけに補聴器をつけると、周囲の音環境が崩れてしまいがちです。

次に、補聴器の片耳装用では、会議や集会など複数の人が話す場所で、会話が聞き取りにくいことがあります。耳から入ってきた音を解析し、話す人の位置を特定するなど、大脳を含めた聴覚はフルに働いています。その基本である左右の耳のバランスが崩れてしまうのは避けたいものです。

また、片耳だけで補聴器を使うと、使っていない側の耳が刺激されにくいため、その耳の聞き取り能力が低下していきます。使わない耳はどんどん衰えてしまうのです。耳が衰えるということは聴覚(知覚)が衰えるということですから、脳の機能も衰えてしまうことになります。これはゆゆしきことです。

両耳装用した場合のメリットとは?

では、補聴器を両耳に装用した場合はどうでしょうか?

先に述べたデメリットの反対、それがメリットになります。すなわち、両耳装用は空間認識や距離感がより正確に判断でき、会議など複数が発言する場でも会話が聞き取りやすく、左右の耳が刺激されるため脳でも情報が統合されやすくなる、ということになります。

さらに両耳装用では補聴器のいろいろな機能の相乗効果も期待できます。例えば右耳から聞こえる音と左耳から聞こえる音を同期させて、脳内での処理を助けます。しかも音に臨場感があるので聴覚への刺激が高められ、耳の老化が抑制されると考えられています。

両耳にした場合の相場感

補聴器を両耳に装用する場合、単純計算では費用が片耳装用の2倍になります。なかには「両耳割引」が設定されているものもあります。補聴器の購入を検討する際には、その価格が片耳表示か両耳表示か、よく確認するようにしましょう。

耳あな型補聴器の両耳装用の相場感

耳穴に小さな補聴器を入れるため見た目が目立たず、周囲の目が気にならないという利点があります。ただし超小型なため手先が不器用な方には扱いにくい面があります。お求めやすいものでは両耳20万円台のものもありますが、耳穴の形に合わせるオーダーメイドの高機能なものでは両耳80万円前後が相場です。

耳かけ型補聴器の両耳装用の相場感

ざっくりとした相場感は15万円~80万円。耳かけ型でも抵抗感がない方、耳あな型ではパワーが足りない方は、耳かけ型を選ぶことが多いようです。片耳だけで50万円前後の高級品もありますが、一般的には両耳で30~50万円くらいがよく選ばれています。

ポケット型補聴器の両耳装用の相場感

胸ポケットなどに本体を入れ、イヤホンとつなぐタイプの補聴器です。本体が大きいという難点がありますが、大きいだけに操作しやすいというメリットもあります。また、本体は1つでも両耳に使うことができます。その際は左右に分かれたイヤホンを使います。価格はおおむね5万円前後であり、安さが魅力になっています。

メガネ型骨導補聴器の相場感

メガネ型補聴器は形状からいやおうなしに両耳装用になります。集めた音が振動となり、メガネフレームを経由して耳の後ろに伝わります。一般的なメガネ型骨導補聴器は30万円前後で販売されています。

両耳装用はちょっと高額!? それでも両耳にしてほしい理由

両耳装用よりも値段が半分になって安いからという理由だけで、片耳装用にしたがるお客さまもいらっしゃいますが、ちょっとお待ちください! プロはやはり両耳装用をおすすめします。

最後に、もういちど両耳装用のメリットをまとめてみましょう。

(1)音声の方向や距離が正確に認識できる

私たち人間は、右と左の2つの耳を駆使することで、音声の方向、距離、立体感、臨場感などを得ることができます。片方の耳だけではバランスよく音声を認識することはできません。したがって補聴器は両耳装用を推奨します。

(2)複数が発言する会議などでも聞き取りやすい

どのような環境で補聴器を使うか。音環境への対応も補聴器選びの基準になります。もしあなたが現役のビジネスマンなら、面談や会議の内容は一言も聞き逃せないはず。厳しい条件下でもより確実に聞き取るためには両耳装用を試してみてください。

(3)耳や脳が疲れにくい

激しく動けば体が疲れるように、耳や脳も疲労します。特にバランスの乱れた音を聴覚が処理する場合や、聞き取りにくい音声を無理に聞き取ろうとしている場合に、脳の疲労は極限に達します。ご自身に負担をかけない意味でも両耳装用は大切です。

(4)音声や音環境が自然に聞こえる

両耳に装用した補聴器は、音声の反響や余計なノイズを防ぎ、より自然な音を聴覚に届けます。片耳装用では自然な聞こえは実現しにくいのが実情です。照明やエアコンの音を抑制し、会話や音環境を自然に聞き取りたいものです。

(5)耳の聞く力を衰えさせない

日常的に鍛えている筋肉は高齢になってもしっかり残ります。耳の聞く力も同様です。正しい状態の音を聞いて聴覚を衰えさせないようにすることが重要です。補聴器の両耳装用は、耳の機能を維持するためにも必要なのです。

いかがでしょうか。我々補聴器販売従事者のあいだでは、「高級な補聴器を一台買って片耳装用するくらいなら、少しお求めやすい補聴器を二台買って両耳装用にすべき」といわれていますが、その理由をご理解いただけましたでしょうか。補聴器は両耳装用が基本!
このことをしっかり覚えておきましょう。

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