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2017.5.10

補聴器と集音器・助聴器のあれこれ

あまり知られていない補聴器と集音器・助聴器の違い

お店のパンフレットや通販サイトでは、耳の聞こえが悪くなった時の対処法として「補聴器」と「集音器」が販売されています。時には「助聴器」という商品も見かけます。ご存知のとおり、補聴器と集音器や助聴器は似て非なるものです。しかしその違いを知っている人は多くありません。この違いについて考えてみたいと思います。

医療機器として承認されているかどうかの違い

補聴器と集音器・助聴器の最も大きな違いは、補聴器が厚生労働省から医療機器として承認された商品であるのに対し、集音器・助聴器は承認されていない商品だということです。医療機器として承認を受けるには、さまざまなデータを提出するなど大変な作業があります。集音器・助聴器はそれを回避するために音響機器として販売されているものです。すなわち医療機器としては何のチェックもされておらず、なかには性能や効果や安全性に疑問符がつくような商品も流通しています。この点がいちばん大きな違いといえます。

価格の違い

補聴器と、集音器・助聴器の違いは価格面でも明らかです。集音器・助聴器は補聴器よりも圧倒的に安く販売されています。補聴器は安いものでも10万円くらいはしますが、集音器・助聴器は1万円くらいで買うことができます。

性能の違い

なぜそんなに価格が違うかというと、補聴器のほうが集音器・助聴器よりも高性能だからです。先に述べたように補聴器は医療機器として承認されていますから、研究開発や承認審査にも多額の費用が投入されています。また最近の補聴器はデジタル化で小さいながらも高性能コンピュータ並みの性能を持っています。まわりの雑音を抑えたり、突然発生した大きな音を抑えたり、特定の方向の音を聞こえやすくしたり、リモコンや無線を使ってより聞き取りやすくなる仕組みが出来上がっています。価格が高いのはこのように高性能であることと、安全性にも二重三重の配慮がなされているからです。補聴器が使用する人の聞こえに合わせて調整して仕上げていくのに比べ、集音器や助聴器は音を集めて音量を上げるだけ。この点も大きな違いだといえます。

個々の聞こえへの対応力の違い

補聴器による難聴への対応については一律に語ることができません。なぜなら耳の聞こえ具合は人それぞれ違うからです。聴力全体が落ちている場合もあれば、特定の音質や周波数が聞きにくくなる場合もあります。いわば難聴には特性があるのです。

難聴の方が生活に支障のないようにするには、その人の聞こえ具合を正確に把握し、聴力や聞こえ具合に合わせ、補装具を繊細に調整しなくてはなりません。それをすることで、補聴器は難聴に対して正しい役割を果たすようになります。

聞こえを改善するために、どのくらい音量を上げれば聞こえるようになるか、聞き取れない周波数はどのあたりか、周囲の雑音に対する抑制の必要があるか、など留意しなければならない点は山ほどあります。補聴器は医療機器ですので、こうした個々の状況に応じて調整できる機能を持っています。ところが、集音器や助聴器には、そうした個々の聞こえに合わせるための調整機能が搭載されていません。せいぜい音量調節ボタンでボリュームを調整する程度です。これが補聴器と集音器・助聴器の大きな違いです。

売り方の違い

医療機器である補聴器と、音響機器である集音器・助聴器では、当然ながら売り方が違います。使用する人の聞こえに合わせて綿密に調整することを前提としている補聴器は、買ってから自分に合った音を作っていくような気持ちが必要です。したがって誠実にケアしてくれる補聴器専門店などの対面販売のお店がメインになります。

お店で補聴器を売る際は、カウンセリング、補聴器選択のための聴力測定、言葉の聞き取りチェックなどを行い、使用者の聴力や状態に合わせて補聴器の調整(フィッティング)を行います。そして、使いはじめてからの微調整や点検・クリーニングも欠かせず、日常生活のなかで使いながら調整を理想に近づけていきます。そうした作業を続けることで、最終的に自分に合った補聴器が出来上がるわけです。補聴器の場合は、こうした知識と技術と手間暇が必要な売り方になります。

その一方で、集音器や助聴器は一般の電器店、通信販売などで売られています。補聴器と違って「売ったら終わり」の世界です。使用する人に合わせた調整を前提にしていない集音器や助聴器ですから、安易に売られているのが実状です。

違いを知ると補聴器を使いたくなる

まとめると、補聴器と集音器・助聴器の違いは、次のようになります。

  • 医療機器として承認されているかどうかの違い
  • 価格の違い
  • 性能の違い
  • 個々の聞こえへの対応力の違い
  • 売り方の違い

この違いを知ると、補聴器と集音器・助聴器にはいろいろな面で雲泥の差があることがわかると思います。自分に合ったものが買えるのが一番ですが、安易に決めずにいろいろ探して試してみることをお勧めします。補聴器に関しては、私たちヒヤリングストアにぜひお尋ねください。

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