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2017.4.3

補聴器の仕組み

補聴器はマイクとスピーカーを搭載した超小型コンピュータ!

難聴の方も、そうでない方も、補聴器の仕組みを知っておくと、何かのときに役立つのではないでしょうか。ここでは補聴器の構造と機能についてご説明します。 補聴器の構造は大きく3つに分類できます。それは次のような部分から構成されます。

  1. 音や信号を入力する部分
  2. 音を処理する部分
  3. 音を出力する部分

音を入力し、処理し、出力するという構成は、拡声器やカラオケマシンにも通じます。仕組み自体はシンプルで簡単ですが、耳に入るようなサイズでこれを実現するのは大変な技術と開発力が必要といえます。

補聴器の構成

では、個々の構成を見てみましょう。まず、音を入力する部分はマイクです。補聴器には非常に小さなマイクロフォンが搭載されていて、しかも1つとは限りません。指向性(特定の方角からの音を重点的に拾う機能)マイクを使用している場合は複数のマイクが取り付けられています。入力方法はマイクだけではありません。電話の声を快適に聞くための「テレコイル」という部品や、ワイヤレス機能を使うための受信装置があります。また、外部からの信号を取り込むための外部入力端子が付いた製品もあります。

次に、音を処理する部分です。ここには音を処理するデジタル信号処理装置(DSP)が搭載されています。電池も近くにあります。非常に小さなICチップですが、複雑な音の処理をスピーディに行います。補聴器が超小型コンピュータと呼ばれるのは、この装置の存在があるからです。

最後に、音を出力する部分ですが、ここではスピーカーが活躍します。スピーカーは正しくはレシーバーという名称です。補聴器には小型でありながら幅広い音域の音を出し、出力も余裕のあるレシーバーが搭載されます。


図/補聴器の仕組み

ちょっと特殊な骨伝導補聴器の仕組み

デジタル補聴器、アナログ補聴器という分類にかかわらず、注目されている方式に骨伝導補聴器というものがあります。普通、私たちが音を認識するときは、音を空気の振動として耳で受け取り、鼓膜や耳小骨を振動させて増幅させ、その増幅した振動が内耳で電気信号に変換され聴神経を通じて脳に伝えられて音として認識します。しかし、骨伝導は音を空気ではなく骨の振動で伝えます。これは、まず音を集音マイクなどで受け取り、骨伝導スピーカーで頭蓋(概ね耳の後ろの乳突部)を振動させ、その振動を内耳に直接伝えて音として認識する方法です。この方法であれば、伝音難聴や鼓膜がない人でも音を聞くことができるようになります。

骨伝導は音が外耳や中耳を介せずに内耳にストレートに伝わります。したがって外部の雑音に妨害されることなく音を聞くことができます。もし耳をふさいで空気の振動(気導)で音が聞こえなくなっても、骨の振動(骨導)で音を聞くことができます。補聴器だけでなく、耳をふさぐと危険に直面する立場の人(自衛隊員や消防士など)の通信手段として利用されていますし、航空機の近くなど大きな騒音下でのコミュニケーションツールとしても使われています。補聴器としては伝音難聴に効果を発揮しますが、内耳以降の障害が原因で起こる感音難聴には効果が期待できません。購入に際しては、難聴の種類や程度について、医師や専門家によく相談してください。

消えゆくアナログ補聴器

現在販売されている補聴器は、ほとんどがデジタル補聴器です。デジタル補聴器は音を処理する部分にデジタル信号処理装置が使われており、聞こえる音を数値化し、それを計算することで耳に最適な音が作られるよう工夫されています。以前のアナログ補聴器は、マイクから伝わる電流をトランジスタなどで物理的に増幅して音を大きくしていましたが、この方式はすでに過去のものとなりました。高品質でありながら超小型化が進む補聴器の世界では、今やほとんどがデジタル補聴器となっています。その性能は今後も一層進化していきます。

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