補聴器を購入する際、介護保険を利用して購入費用を抑えたいと考えるのは自然なことです。しかし、結論からお伝えすると、補聴器の購入に介護保険を適用することはできません。
この記事では、介護保険が使えない具体的な理由を解説するとともに、言語聴覚士の視点から、補聴器を安く購入するために活用できる公的な補助金や助成金制度について詳しくご紹介します。
1章目:補聴器で介護保険は使える?

補聴器購入は介護保険を使えない
介護保険制度において、補聴器は保険適用の対象外に指定されています。
日常生活の自立を支援する介護保険の枠組みでは、補聴器は視力を補う眼鏡と同様に、個人の身体機能を補完する「一般生活用品」に近い位置づけとみなされているため、介護保険の給付対象には含まれません。
介護保険の適用範囲
介護保険が適用される福祉用具やサービスには、厳格な対象範囲が定められています。主に以下の要素に該当するものが適用の対象となります。
• 歩行や移動を補助する用具(車椅子、歩行器、歩行補助つえ)
• 排泄や入浴を支援する用具(腰掛便座、入浴補助用具)
• 寝たきりや床ずれを防止する用具(特殊寝台、床ずれ防止用具)
• 住宅の安全性を高める改修(手すりの取付け、段差の解消)
上記は介護者の負担を軽減するために必要な物品や工事と判断されて介護保険が適用されますが、補聴器は介護者ではなく使用者の負担を軽減する商材と判断されるため介護保険の適用範囲外となります。
2章目:補聴器の購入に介護保険を適用できない理由

補聴器購入に介護保険を使えない理由
介護保険の財源は限られており、適用の可否は厚生労働省が定める厳格な基準によって判断されています。補聴器に介護保険を適用できない主な理由は以下の通りです。
• 補聴器が福祉用具の指定対象外:介護保険が認める「特定福祉用具」や「特定介護予防福祉用具」の品目に補聴器は登録されていません。
• 医療費控除や自治体ごとの助成金など購入負担を下げる制度が存在する:医師の処方に基づき医療費控除の対象になるなど、他の経済的支援策がすでに用意されているためです。
• 補聴器は嗜好品や生活用品と似た扱いがされる:眼鏡と同様に、身体の部位を補うパーソナルな製品であるため、介護保険の理念である「自立支援・介護負担軽減のための共用・標準的用具」の枠に収まりにくい側面があります。
このように、制度の目的や対象品目の定義から外れていることが理由に挙げられます。
3章目:補聴器を安く買う方法3選

医療費控除の利用
医師による補聴器適合判定を受け、補聴器診療医から必要性を認められた場合に利用できる制度です。
確定申告を行うことで、購入費用が医療費控除の対象となり、所得税や住民税の一部の還付または軽減を受けられます。
自治体の補助金制度の利用
各地方自治体が独自に実施している助成制度です。
障害者手帳の交付対象にならない軽度や中等度の難聴者を対象に、購入費用の一部を補助する仕組みであり、申請要件や補助金額は居住する自治体によって異なります。
障害者総合支援法の制度を利用
聴覚障害の判定を受け、障害者手帳を所持している場合に利用できる制度です。
原則として費用の1割が自己負担となり、原則9割の公費支給で補聴器(補装具)の支給や修理にかかる費用サポートを受けられます。
関連記事:補聴器を安く買う方法を補聴器販売店が解説!補助金や医療費控除の割引制度も紹介
4章目:補聴器購入における医療費控除・自治体の補助金・障害者総合支援法毎のメリット・デメリット

各制度には、対象となる難聴の程度や申請にかかる手続きの難易度に違いがあり、それぞれ異なるメリットとデメリットが存在します。
ユーザー自身の状況に合わせて最適な制度を選択することが、費用を抑える上で重要です。

医療費控除は、シグニアやフォナック、オーティコンといった主要ブランドの高性能な補聴器を自由に選びたい場合に有効な手段で、障害者手帳の交付対象にならない軽度・中等度難聴のユーザーでも、確定申告を行うことで購入費用の一部の還付・軽減を受けられます。
同じく手帳の対象外となる方にとっては、自治体独自の補助金も現実的な選択肢となり、お住まいの地域によっては購入費用の直接的な補助を受けられます。
そして、聴覚障害の判定を受け障害者手帳を所持している高度・重度難聴の方にとっては、自己負担を最小限に抑えられる障害者総合支援法が最も強力な制度となりますが、手帳の所持が必須条件となるため対象者は限定されます。
それぞれの特徴を理解し、お住まいの地域や難聴のレベルに応じた適切な手続きを進めることが推奨されます。
5章目:補聴器購入を安く買うための手続き方法

補聴器購入における医療費控除の手続き方法
医療費控除を受けるには、補聴器を購入する前に手続きを開始する必要があります。
まず、一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定する「補聴器相談医」を受診し、理由書(補聴器適合に関する情報提供書)を記載してもらいます。
その後、加盟している補聴器専門店で補聴器を購入し、領収書を受け取ります。確定申告の時期に、医師の理由書と補聴器の領収書を添えて税務署へ申告することで控除が適用されます。
順番を間違えて購入後に受診しても適用されないため注意が必要です。
補聴器購入における自治体の補助金制度の手続き方法
自治体独自の補助金を利用する場合は、居住する市区町村の福祉窓口へ事前に問い合わせを行います。
一般的な流れとして、窓口で申請書類を受け取った後、指定された医療機関の耳鼻咽喉科医による診察と意見書の作成を依頼します。
医師の意見書と見積書を自治体に提出し、審査を経て「交付決定通知書」が届いた段階で初めて補聴器を購入できます。
自治体ごとに申請の要件や対象年齢、必要書類が細かく異なるため、必ず事前確認を行うことが重要です。
補聴器購入における障害者総合支援法を利用する方法
障害者総合支援法による補装具費支給制度を利用するには、まず身体障害者福祉法に基づいた聴覚障害の身体障害者手帳を取得する必要があります。
市区町村の福祉窓口で申請を行い、指定医による診断書・意見書を提出して手帳が交付された後、補装具費の支給申請へと進みます。
判定に基づき自治体から「支給決定通知書」が発行されたら、指定の補聴器専門店で原則1割の自己負担で補聴器を受け取ることができます。手帳の取得から支給までには一定の期間を要します。
6章目:初めて補聴器を購入する人におすすめの補聴器3選

おすすめ補聴器の基本情報一覧
初めて補聴器を選定するにあたり、扱いやすさや装着感、機能性のバランスが優れた代表的な3つの製品を厳選しました。
主要なメーカーごとの代表機種と、片耳あたりの一般的な価格相場は以下の通りです。

各製品の概要と特長
・ビビアシリーズ
メーカー:リサウンド
価格:片耳約20万円から65万円
特徴:自然でクリアな聞こえを追求した補聴器で、会話の聞き取りやすさと周囲の環境音のバランスに優れています。
AIを活用した音声処理により、騒がしい場所でも会話を聞き取りやすくサポートします。Bluetooth接続や充電式モデルも充実しており、初めて補聴器を使う方にも扱いやすいシリーズです。
・IXシリーズ
メーカー:シグニア
価格:片耳約17万円から60万円
特徴:騒がしい環境での会話をより聞き取りやすくする「ロックオン機能」を搭載し、複数人との会話でも話し手の声をしっかり捉えます。
充電式やBluetooth対応モデルも豊富で、日常生活からビジネスシーンまで快適な聞こえをサポートします。会話を重視したい初めての方におすすめのシリーズです。
・アルーアシリーズ
メーカー:ワイデックス
価格:片耳約26万円から70万円
特徴:ワイデックスならではの自然な音質をさらに進化させた最新シリーズです。独自の「ALLURE ピュアサウンド」により、音の遅れを抑えながら言葉をより明瞭に届けます。
静かな場所から騒がしい環境まで自然な聞こえを実現し、音質にこだわる方や初めて補聴器を使う方にもおすすめです。
補聴器選びは、聞こえの改善だけでなく、生活の質を向上させるための重要な決断です。
しかし、多くの種類がある中で、自分に合った補聴器を選ぶのは難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また補聴器は、購入後の調整やメンテナンスが重要です。定期的な聴力測定やクリーニング、故障時の対応など、手厚いアフターサポートを受けられる販売店を選ぶことも大切です。
ヒヤリングストアでは、お客様おひとりお一人の聞こえの状態やご希望に合わせた最適な器種選択ができるように最新の設備を取り揃えております。
聴力状態を確認しながらの無料カウンセリングも行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


