2025.6.11
高齢者におすすめの補聴器6選


最近、テレビの音が大きいと指摘されたことや、会話が聞き取りにくくなったと感じることはありませんか?加齢による聞こえの変化は珍しいことではありません。補聴器は、そのような聞こえの悩みをサポートする有効な手段です。しかし、様々な種類があるため、ご自身に合ったものを選ぶのは難しいと感じるかもしれません。この記事では、補聴器販売店の視点から、高齢者の方に向けた補聴器選びの重要なポイント、高齢者におすすめ機種6選、価格相場について詳しく解説します。最適な補聴器を見つけるための一助となれば幸いです。
1章:高齢者ほど補聴器の装用が必要になる理由
年齢とともに聞こえにくさを感じるのは、加齢による自然な変化です。しかし、この変化を放置すると日常生活に様々な影響が及ぶ可能性があります。高齢者の方に補聴器の早期装用が推奨される主な理由を以下に挙げ、それぞれ解説します。
- 加齢による聴力損失(加齢性難聴)の進行を遅らせる。
- 生活の質(QOL)への影響
- 社会的孤立や精神的な負担の増加を防止
- 脳の認知機能との関連性
加齢による聴力低下(加齢性難聴)の進行
加齢性難聴は、多くの場合、高い周波数の音から徐々に聞き取りにくくなる聴力の変化を指します。電子音や言葉を構成する子音などが不明瞭になりがちです。単に音が小さく聞こえるだけでなく、言葉の内容を正確に聞き取る能力(語音明瞭度)も低下することが特徴です。進行は緩やかなため、ご自身では気づきにくい場合もあります。
生活の質(QOL)への影響
聞こえは私たちの生活の質(QOL: Quality of Life)に深く関わっています。電話での会話、友人との集まり、趣味の活動など、様々な場面への参加が難しくなることがあります。また、車の接近音や緊急時の警報音など、安全に関わる音の聞き逃しは重大な事故につながる可能性も否定できません。活動が制限され、日々の楽しみが減ることは、生活全体の満足度低下につながります。
社会的孤立や精神的な負担の増加
コミュニケーションがうまくいかない経験が重なると、次第に人との交流を避ける傾向が見られることがあります。その結果、社会的なつながりが希薄になり、孤立感や疎外感を深めてしまう可能性があります。「聞こえない」ということ自体が精神的な負担となり、ストレスの増加につながるとも言われています。
認知機能との関連性
近年、難聴と認知機能低下との間に関連があることを示唆する研究が国内外で進められています。フランスで65歳以上の高齢者3,670名を対象に行われた25年間の追跡調査のj結果、難聴があるのに補聴器を装用していない人は、補聴器を装用している人や難聴のない人とくらべて有意に認知機能スコアが低下していることがわかりました。耳から入る音の情報(刺激)が減少することが、脳の活動に影響を与える可能性が指摘されています。補聴器を用いて聞こえを改善することが、こうしたリスクの軽減に繋がる可能性が期待されています。
参考文献:Amieva H,Ouvrard C,Giulioli C,Meillon C,Rullier L,Dartigues JF. Self-Reported Hearing Loss,Hearing Aids,and Cognitive Decline in Elderly Adults: A 25-Year Stydy. J Am Geriatr Soc.2015 Oct;63(10):2099-104.doi:10.1111/jgs.13649.PMID:26480972.
2章目:高齢者が補聴器を装用するメリット・デメリット
補聴器の装用を検討する上で、その利点と注意点の両方を理解しておくことが重要です。補聴器は聞こえをサポートする有効な手段ですが、万能ではありません。ここでは、高齢者の方が補聴器を使用する場合の主なメリットとデメリットについて、それぞれ具体的に解説します。
高齢者が補聴器を装用するメリット
補聴器を適切に選び、調整して装用することで、聞こえが改善され、日常生活において多くの良い影響が期待できます。主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
・コミュニケーションの円滑化
会話がより聞き取りやすくなり、聞き返しや聞き間違いが減少します。これにより、家族や友人との意思疎通がスムーズになり、会話に積極的に参加する意欲が高まり、コミュニケーションが円滑になります。誤解やすれ違いを防ぐ助けにもなります。
・生活の質(QOL)の向上
テレビの音が適切な音量で楽しめるようになったり、電話での会話が以前より楽になったりします。また、趣味の集まりや観劇、旅行など、これまで聞こえにくさから参加をためらっていた活動にも再び参加しやすくなり、生活に楽しみや彩りが戻ることが期待できます。
・安全性の向上
車の接近音、自転車のベル、踏切の警報音、緊急車両のサイレンなど、周囲の様々な環境音や危険を知らせる音に気づきやすくなります。これにより、外出時の危険を早期に察知し、回避する能力が高まり、より安全な日常生活を送るための助けとなります。
・認知機能維持への期待
1章でも触れましたが、近年の研究では難聴と認知機能低下の関連が指摘されています。補聴器を使用して脳への適切な音刺激を保つことが、認知機能の維持に良い影響を与える可能性があるという研究が進められています。
これらのメリットを最大限に享受するためには、ご自身の聞こえの状態やライフスタイルに合った補聴器を選び、専門家による精密な調整と、継続的なサポートを受けることが不可欠です。
高齢者が補聴器を装用するデメリット
一方で、補聴器の装用には、いくつかの注意点や、慣れが必要となる側面も存在します。購入を検討する際には、以下のデメリットや考慮すべき点についても理解しておくことが大切です。
・補聴器購入費が高い
補聴器本体は、搭載されている機能や性能によって価格が異なり、一般的に高価なものとされています。初期費用に加え、電池交換が必要なタイプでは定期的な電池代、充電式でも電気代、そして定期的なメンテナンスや万が一の修理にも費用が発生する場合があります。経済的な負担は無視できない要素になります。
・補聴器装用には慣れが必要
補聴器を初めて装用した際、最初の2~3か月は耳の中に物が入っている異物感や閉塞感、自分の声が大きく響くように感じる(自声強調)ことがあります。また、今まで聞こえていなかった周囲の様々な音(換気扇の音、食器の音など)が大きく聞こえ、慣れるまではかえってうるさく感じられることもあります。こうした気になる音も少しずつお耳に合わせ調整を重ねていくことになります。脳を慣らす期間が必要です。
・補聴器は管理が必要
補聴器の性能を良好に保ち、故障を防ぐためには、毎日のメンテナンスや、就寝前の湿気取り(乾燥ケースの使用など)といったお手入れが必要です。電池式の場合は小さな電池の交換、充電式の場合は毎日の充電作業が伴います。細かい作業が苦手な方には、負担に感じられる場合があります。
・補聴器装用を人に知られたくない
「補聴器を着けていることを他人に知られたくない」という心理的な抵抗を感じる方も少なくありません。ただし、近年の補聴器は技術の進歩により大幅に小型化・軽量化が進んでおり、デザイン性も向上しているため、髪型などで隠すことも含め、以前に比べて格段に目立ちにくくなっています。ヒヤリングストアでは、見せない超小型の補聴器を取り扱っております。ぜひご相談くださいませ。
・効果の限界への注意
補聴器はあくまでも聞こえを補助する機器であり、失われた聴力を完全に元通りにするものではありません。音を増幅し補ってくれるものです。言葉の聞き取り能力(語音明瞭度)自体が低下している場合は、補聴器を使っても聞き間違いが完全になくなるわけではありません。過度な期待を持つと、現実とのギャップにがっかりしてしまう可能性があります。
補聴器は万能なものではないのです。
補聴器の定期メンテナンスの必要性
補聴器は購入したら終わりではなく、その時の聞こえの状態や使用状況に合わせて、専門家による定期的な調整(フィッティング)を受ける必要があります。快適な聞こえを維持するためには、定期的に販売店へ通うことが求められます。ご自宅から近く通いやすいお店を選んでいただくこともポイントです。
これらのデメリットや注意点を事前に理解した上で、補聴器店の専門家とよく相談し、ご自身に合った機種選びやサポート体制を確認することが大切です。
3章目:高齢者の補聴器の選び方
高齢者の方が補聴器を選ぶ際には、聞こえの改善効果に加えて、日々の使いやすさや管理のしやすさも非常に重要な選択基準となります。多くの種類がある中から、ご自身に最適な一台を見つけるための選び方のポイントを以下にまとめ、それぞれ解説します。
補聴器選びのポイント
- 補聴器装用者の聴力と補聴器の機能がマッチするか
- 補聴器の扱いやすさと管理のしやすさ
- 生活スタイルと補聴器の機能があっているか
- 補聴器のお試し利用の有無
- アフターケアとサポート体制
補聴器装用者の聴力と補聴器の機能がマッチするか
まず最も基本となるのは、専門家による正確な聴力測定を受け、その結果に基づいてご自身の聞こえの状態(聴力レベルや聞こえの特徴)に適合した補聴器を選ぶことです。必要な音の増幅度や周波数特性を持つ機種を選定してもらいましょう。聴力に合わない補聴器では、十分な効果が得られない可能性があります。
補聴器の扱いやすさと管理のしやすさ
補聴器は毎日使うものですので、ご自身で無理なく扱えることが大切です。スイッチのオンオフ、音量調整、電池交換や充電、日々の清掃といった作業が簡単に行えるかを確認しましょう。ヒヤリングストアでは、電池交換や装用の練習など不安がある方でも一緒に練習を行っております。ご安心くださいませ。
生活スタイルと補聴器の機能があっているか
補聴器に求められる性能は、主に過ごす環境によって異なります。例えば、静かなご自宅での使用が中心か、会議や会食など騒がしい場所へ出かける機会が多いかによって、適した機能が変わってきます。雑音抑制機能、ハウリング(ピーピー音)抑制機能、特定の方向の音を聞き取りやすくする指向性マイク機能など、ご自身の生活場面を考慮し、必要な機能を専門家と相談して選びましょう。
補聴器のお試し有無
カタログや説明だけでは、実際の聞こえ方や使い心地は分かりません。補聴器は決して安価な買い物ではないため、購入前には試聴することが重要です。ヒヤリングストアでは貸出制度・2か月返品制度・機種交換制度など安心制度をご用意しております。
アフターケアとサポート体制
補聴器は購入したら終わりではなく、その後の定期的な調整(フィッティング)やメンテナンスが不可欠です。購入を検討している販売店が、購入後にどのくらいの頻度で点検や調整を行ってくれるのか、専門的な知識や技術を持ったスタッフがいるか、修理が必要になった場合の対応、保証内容など、長期的に安心してサポートを受けられる体制が整っているかを確認することが大切です。
4章目:高齢者におすすめの補聴器6選
現在、多くのメーカーから様々な特徴を持つ補聴器が販売されており、ご自身に合った一台を選ぶのは難しいと感じるかもしれません。ここでは補聴器販売店の視点から、特に高齢者の方にとって使いやすく、日常生活での聞こえを効果的にサポートする機能を持つ代表的な補聴器のモデルを6機種ご紹介します。ただし、最適な補聴器は一人ひとりの聞こえの状態や生活環境、予算によって異なります。あくまで選択肢の一つとして参考にし、最終的には必ず補聴器専門店の専門家とよく相談の上、ご自身の耳で試聴して決定するようにしてください。記載している価格は一般的な目安(片耳、非課税)であり、販売店や性能クラスによって変動します。
Oticon OWNSI(オーティコン)
- 価格帯:20万円台後半~(片耳)
- 特徴:オーティコン独自の「ブレインヒアリング(BrainHearing™)」技術に基づき、脳が本来持つ音の処理能力を自然にサポートすることを目指した小型耳あな補聴器です。特に、食器がぶつかる音やドアが閉まる音などの不快な衝撃音や、風の音(風切り音)を効果的に抑制し、より自然で快適な聞こえを提供します。周囲の複雑な音環境への適応力に優れているとされます。
Signia IX(シグニア)
- 価格帯:10万円台後半~(片耳)
- 特徴:スリムで洗練されたデザインが目を引く充電式耳かけ型補聴器から小型耳あな型まで様々な取り扱いのあるシリーズです。シグニア独自の世界初のロックオン機能と言語明瞭化を搭載し、人の声とそれ以外の環境音を別々に処理することで、騒がしい場所でも会話の聞き取りやすさを向上させることを目指しています。
Phonak インフィニオスフィア(フォナック)
- 価格帯:50万円台後半~
- 特徴:ERAとDEEPSONICの2つのチップを搭載。これにより、音質や接続性を大幅に向上させると同時に、騒がしい環境で「ことば」と「雑音」を分離し音声から雑音を除去することで、よりクリアな音声を実現しています。また、スマートフォンやタブレットとのBluetooth®接続機能も充実しており、通話や音楽鑑賞などを楽しみたいアクティブな方にも適しています。
ReSound ビビア(リサウンド)
- 価格帯:20万円台前半~
- 特徴:ヒトの耳を模倣した17バンドの波形で音を認識する、独自のオーガニックヒアリングで騒音下でもより自然に聞き取りやすくサポートします。世界最初の充電耳かけ式補聴器から、充電式の耳あな式まで幅広く取り扱っております。また、今回新しく登場したビビアシリーズは、世界最小のAI補聴器として、より騒がしい場所でもまるで静かな場所で会話をしているような気着心地に進化しました。
Starkey EDGE AI(スターキー)
- 価格帯:30万円台前半~
- 特徴:AI(人工知能)技術を搭載し、周囲の音環境を毎時最大8,000万回分析して自動で音質を最適化する補聴器です。取り扱いも充電耳かけ型、充電耳あな型、電池耳あな型と幅広く取り扱いがございます。騒音下での言葉の聞き取りやすさを向上させるだけでなく、スマートフォンアプリと連携することで、歩数や会話量などの活動量を記録する健康管理サポート機能も利用できる点が特徴です。また、他のメーカーに比べて充電の持ちが長く、防水性能に優れています。
Widex SMARTRIC(ワイデックス)
- 価格帯:20万円台後半~
- 特徴:世界中のユーザーの使用状況を蓄積し、そのビックデータを元に、今いる環境を分析しながら最も快適な音を補聴器が自動で届けてくれます。さらに、どんな音を好むのか、使えば使うほど自分の好みの音になっていきます。また、こちらのSMARTRICシリーズは独創的なL字型の形状になっており、自然でクリアな聞こえと快適な装用感を実現しております。
補聴器選びは、聞こえの改善だけでなく、生活の質を向上させるための重要な決断です。
しかし、多くの種類がある中で、自分に合った補聴器を選ぶのは難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また補聴器は、購入後の調整やメンテナンスが重要です。定期的な聴力測定やクリーニング、故障時の対応など、手厚いアフターサポートを受けられる販売店を選ぶことも大切です。
ヒヤリングストアでは、ヒヤリングストアではお客様おひとりお一人の聞こえの状態やご希望に合わせた最適な器種選択ができるように最新の設備を取り揃えております。
聴力状態を確認しながらの無料カウンセリングも行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。