補聴器が高額で手が出ないと悩む方は少なくありません。しかし、聞こえを放置することは生活の質を低下させるリスクがあります。
この記事では、補聴器専門店の視点から、補聴器が高い理由と、安く購入するための公的支援や補助金制度を詳しく解説します。
1章目:補聴器の種類別(耳掛け・耳穴・AI)価格相場

補聴器の平均価格相場は、片耳で約15万円から30万円前後となるケースが一般的です。この価格には本体代金だけでなく、言語聴覚士や専門スタッフによる細かな調整費用やアフターケアのサービス料が含まれています。
また、補聴器の価格は形状や搭載されている機能のレベルによって大きく変動します。まずは、主要な種類ごとの一般的な価格相場を一覧で確認しましょう。
補聴器の種類別価格相場

耳掛け型補聴器の価格相場
耳掛け型は、耳の後ろに本体を設置する最も一般的なタイプです。価格は片耳10万円前後のエントリーモデルから、高機能な50万円以上のクラスまで幅広く存在します。
普及率が高いため選択肢が豊富で、予算に合わせた製品選びがしやすい形状といえます。
耳穴型補聴器の価格相場
耳穴型は、一人ひとりの耳の形に合わせて製作するオーダーメイドが主流のため、片耳10万円以上からが相場となります。
耳の中に収まるためマスクや眼鏡の邪魔にならず、密閉性が高いため、より自然な音質を求める方に適した選択肢です。
AI補聴器の価格相場
AI(人工知能)搭載モデルは、周囲の環境を瞬時に分析して音を最適化する機能を備えており、片耳20万円以上の価格帯が多く見られます。
非常に高価ですが、複雑な騒音下での聞き取りを改善する可能性があるため、仕事や趣味で活動的な方に選ばれています。
2章目:補聴器が高くて買いにくいとされる理由

補聴器の購入を検討する際、多くの方がその価格の高さに驚かれます。
なぜ一般的な家電製品と比較して高額に設定されているのか、その背景には精密機器としての側面と、購入後の専門的なケア体制が深く関係しています。
補聴器が高くて買いにくいとされる理由
補聴器が高価である主な理由は、以下の通りです。
- 補聴器が小型で精密な技術が求められる医療機器であること
- 利用者の聴こえに合わせた専門的な調整技術が必要なこと
- 購入後のメンテナンスや調整などの費用が含まれること
- 品質管理と安全基準が細部まで定められている
補聴器が小型で精密な技術が求められる医療機器であること
補聴器は、耳の中に収まる超小型の筐体に、周囲の騒音を抑えつつ会話を強調する高度な集積回路が組み込まれています。
この極小サイズでリアルタイムの音声処理を実現するための研究開発費と精密技術が、価格に反映されています。
利用者の聞こえに合わせた専門的な調整技術が必要なこと
補聴器は購入して終わりではなく、言語聴覚士などの専門家が一人ひとりの聴力や生活環境に合わせて音をカスタマイズします。
この「フィッティング」と呼ばれる高度な専門知識を要する対面サービスが、製品の価値を支えています。
購入後のメンテナンスや調整などの費用が含まれること
多くの販売店では、数年間にわたる定期的なクリーニングや、聴力の変化に伴う再調整を無償で提供しています。
長期間にわたって「聞こえ」の質を維持するための継続的なサポート費用が、あらかじめ購入価格に含まれています。
品質管理と安全基準が細部まで定められている
補聴器は薬機法に基づき、厚生労働省の認可を受けた「管理医療機器」です。
人体への安全性や性能に関する厳しい審査をクリアするための品質管理体制、および法的な基準を維持するためのコストが、価格設定に影響しています。
3章目:安い補聴器と高い補聴器の違い

補聴器の価格差は、主に内部の処理能力や搭載されている機能の豊富さに起因します。
それぞれの特徴を比較して、自身に必要な性能を見極めることが重要です。
高い補聴器と安い補聴器の違い

補聴器は価格だけで決めるのが避けた方が良い理由
補聴器は単に音を大きくする道具ではなく、生活環境や聴力の度合いに合わせて調整する必要があります。
安さだけで選ぶと、必要な音が聞こえなかったり雑音が苦痛になったりする場合があるため、専門家と相談して生活スタイルに合う一台を選ぶことが大切です。
4章目:補聴器を安く購入する方法

補聴器は高額な買い物ですが、制度を正しく活用することで自己負担額を大幅に抑えられる可能性があります。
言語聴覚士としても、費用面が理由で聞こえの改善を諦める前に、まずは以下の軽減策を検討することをお勧めします。
補聴器を安く買う方法
家計の負担を減らして補聴器を手に入れるための主な方法は、以下の通りです。
- 医療費控除を活用して所得税・住民税の還付を受ける
- 障害者総合支援法による補聴器費用の支給制度を利用する
- 各自治体が独自に実施している助成金制度に申し込む
- 価格の安い補聴器や型落ち品を購入する
医療費控除による税金の還付
補聴器の購入費用は「医療費控除」の対象になります。この制度を利用するには、補聴器相談医による診断と、適切な補聴器適合を受けたことを証明する書類が必要です。
確定申告を行うことで、所得に応じた税金の還付や翌年の住民税の軽減が受けられます。高額な機種を購入する場合には特に有効な節税手段となるため、領収書と合わせて必要書類を必ず保管しておきましょう。
障害者総合支援法による補聴器費用の支給制度を利用する
聴力レベルが身体障害者の基準に該当し、障害者手帳を交付されている場合は、障害者総合支援法に基づいた補聴器の支給を受けられます。
原則として購入費用の1割が自己負担となりますが、所得に応じて負担上限額が定められており、大幅に費用を抑えることが可能です。まずは指定の医師による診断を受ける必要があります。
各自治体が独自に実施している助成金制度に申し込む
身体障害者手帳の基準には該当しないものの、加齢に伴う難聴で生活に支障がある方を対象に、各自治体が独自の助成金制度を設けている場合があります。
助成金額や条件はお住まいの地域によって異なりますが、数万円単位の補助が出るケースも多いです。役所の福祉窓口や地域包括支援センターで最新の情報を確認しましょう。
価格の安い補聴器や型落ち品を購入する
高度な多機能を求めない場合、各メーカーが展開しているエントリーモデルを選択することで費用を抑えられます。
また、最新機種の発売時期に合わせて「型落ち」となった旧モデルが割引価格で販売されることもあります。基本性能は十分に備わっているため、専門家と相談しながら自分の用途に合うものを賢く選ぶのが有効です。
5章目:予算を抑えたい方におすすめの4選

補聴器の価格を抑えつつ、日常生活で必要な性能を確保したい方に向けて、コストパフォーマンスに優れた4つのモデルを紹介します。
言語聴覚士の視点からも、過度な多機能を省きつつ実用性の高い製品を厳選しました。
予算を抑えたい方におすすめの補聴器4選

SAVI(サビー/リサウンド)
価格:約95,000円~
コストを抑えた設計ながら自然な聞こえが特徴の補聴器です。雑音を抑制しつつ会話をスムーズにサポートします。
耳掛け型や耳穴型など形状が選べ、基本的な音声増幅機能に特化しており、主に自宅内での会話をスムーズにしたい方に適した一台です。

Insio 1IX(インシオ1IX/シグニア)
価格:約170,000円~
大手メーカー「シグニア」が展開する低価格帯のモデルで、騒がしい環境でも会話をききとりやすくサポートします。
耳掛け型や耳穴型など形状が選べ、オーダーメイドの小型耳穴タイプでもスマートフォンとアプリ接続で音量調節も手軽に行えます。

JetPX(ジェットPX/オーティコン)
価格:約190,000円 〜
シンプルな基本性能で、周囲の音とバランスを整えながら聞こえをサポートするのが特徴の補聴器です。
耳かけ型か耳穴型か形状を選べ、自然な聞こえで毎日の会話を快適にしたい方におすすめです。


Genesis AI 12(ジェネシス AI 12/スターキー)
価格:約170,000円 〜
AI(人工知能)機能を搭載したモデルの中でも、機能を厳選したクラスです。
周囲の音を瞬時に分析して聞き取りやすく調整するAIの恩恵を、比較的手頃な価格で受けられます。初めてAI補聴器を検討する方におすすめです。



