補聴器の選び方の基礎。種類や機能について

補聴器選びで大切な事

最適な補聴器選びをおこなう際は、まず「自分には補聴器が必要なのか」、そして「補聴器にはどんな種類があるのか」、「どんな機能があるのか」を知る必要があります。 また実際に購入するとなった時に、自分に合った補聴器の選び方や、どこで買うべきかといった注意するべきポイントを抑えておくことも重要でしょう。
その他、補聴器は長く使うものですので、「なるべく目立たないもの」や「扱いやすいもの」など、装用する上でストレスにならず、かつ積極的に身につけたくなるものを選ぶことも、あらかじめ念頭に入れておくことをおすすめします。

聴力測定を受ける

まずは自分の聴力を知る

音の高さによる聞こえの違い、
語音をどれだけ正確に聞き取れるかがわかります。

標準純音聴力測定では、音の周波数ごとにどれくらいの聞こえがあるのか、また難聴であるならその種類(伝音難聴、感音難聴、混合難聴)を調査して、オージグラム(聴力図)と呼ばれる図で示します。一般的な聴力測定と言うと、これを指す場合が多いでしょう。

語音弁別測定は、言葉の聞き取りを調査する測定です。日常で使われる「あ」や「い」などの音を実際に様々な音量で聞いてみて、音の大きさごとに何%明瞭に聞こえるかを調べます。

  • グラフ1

    横軸が音の高低(250~8000ヘルツ)、縦軸が聞こえのレベル(0~70デシベル)を表しています。表内のグラフが上の位置にあるほど、聞こえが良いことを表しています。

  • グラフ2

    横軸が音の高低(125~8000ヘルツ)、縦軸が聞こえのレベル(0~120デシベル)になります。

どのくらいの聴力から補聴器は必要か

聞こえに不自由さを感じたら使用を検討する時期です

難聴と一口に言っても、その聞こえ方は様々。またその人の仕事やライフスタイルによっても、聞こえの困難さや日常のつらさは大きく違ってくるため、どの程度の難聴になったら補聴器が必要という、明確な線引は難しいものです。

ただ最近は、技術の進歩によって補聴器の性能も飛躍的にアップしたため、軽度の難聴の方にも大きなメリットを実感出来るようになりました。また、若い時期から難聴になって早い段階から補聴器を装用し始めた人の方が、そうでない人に比べ、より良い聞き取りが出来ているという調査報告もあります。
したがって目安としては、聞こえに不自由さを感じたら、補聴器の装用を検討してみることをおすすめします。

表1
  ※難聴の程度と聴力と日常の能力のコメントはあくまでも目安です。

補聴器について知る

補聴器の仕組み

聴力が低下した人や難聴の人の「聞こえ」を補うことが補聴器の基本的な役割です。補聴器は、「入って来た音を大きくして伝える」機能を持った機械ということがいえます。補聴器のしくみをひとことで表現すると……

〔マイクロホン〕で音を集めて、〔アンプ〕で音を増幅し、〔スピーカー(レシーバー)〕で音を発生させる

……ということになります。このしくみを電池と一緒にあの小さな本体の中に詰め込んだのが補聴器なのです。

また補聴器は、単に入って来た音を大きくするということだけではなく、入って来た音を加工して聞きやすくするという機能も持っています。この機能によって、うるさいと感じる音を事前に抑えたり、不快に感じる音を出来る限り不快に感じないような音に変換することが可能なのです。

基本構造

補聴器のタイプと特徴

補聴器のタイプは、装着する場所によって分類するのが最も一般的な方法で、大きく分けて耳の中に付けるITEと、耳の後ろに装着するBTEの2種類が存在しています。
ITEとは補聴器の装着スタイル「in-the-ear」の略で、耳あな型補聴器のこと。 一人ひとりの耳に合わせてオーダーメイドする必要があることから、オーダーメイド補聴器とも呼ばれます。もう一方のBTEは「behind-the-ear」の略で、耳かけ型補聴器のことです。

耳あな型(ITE)

耳あな型の補聴器は、耳穴に入れて使用するため、なんと言っても目立たない点が特徴。耳の穴の形や大きさは人によって違うため、耳型に合わせてオーダーメイドで製作するのが一般的です。外耳道に完全にマッチするマイクロカナル補聴器と呼ばれるものや、耳のくぼみに完全にはまるフルサイズ型補聴器など様々な型があります。

耳かけ型(BTE) – ノーマルタイプ

BTE 補聴器は、耳あな型に比べて本体が大きめのために、その分多用な機能を搭載できる点がポイントです。小型 BTE 補聴器から大型のスーパーパワー補聴器まで、大きさや型も様々。そのほとんどの耳かけ型補聴器が、雑音のある状況での会話の聞き取りを向上させるためにマルチ指向性マイクロホンシステムを使用しています。また、比較的大きな電池を使用することが出来るため、一回の電池交換で長く使えることも利点と言えるでしょう。

また補聴器には、タイプだけでなく、様々なデザインや色、性能のものが存在しています。ひと昔前に比べて選べる幅が大きく広がりましたので、難聴の度合いだけでなく、見た目の美しさ、ライフスタイルなどに応じてどんな補聴器にするか、楽しみながら選べるようになりました。

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  • 補聴器選びの落とし穴

    補聴器と集音器との違いについて

    補聴器の購入を考えて製品探しをされていると、「集音器(助長器、音声増幅器)」といった名称が付けられた補聴器のような形状をしたアイテムを発見することがあるでしょう。この「集音器」は、補聴器と形こそ似ていますが、医療機器かそうでないかという点で大きく異なっています。

    補聴器は、厚生労働省から正式に医療機器として認定されたもののことを言います。そのため、制約の厳しい条件下で販売される代わりに、効果や安全性、信頼性が確立されています。

    また、使用する人の症状に合わせて音の大きさや周波数、雑音の抑制を細かく調整出来る点も補聴器の良いところ。集音器は、個人の状態に合わせることは基本的に出来ませんので、最終的な聞こえは大きく異なってくると言えるでしょう。

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補聴器を購入する

よいお店選びがはじめの一歩。補聴器ライフを左右します

よいお店選びの方法

①耳鼻咽喉科から紹介してもらう

補聴器店を探すなら、まずは耳鼻咽喉科に難聴の原因を調べてもらうと同時に、良いお店がないか聞いてみましょう。

②実際に補聴器を使っている人から教えてもらう

補聴器は、症状に合わせたフィッティングが必要があったり、後々修理などのアフターケアをお願いすることもあ るため、お店の対応の良否は非常な重要なポイント。そのため実際に補聴器を買った人から、そのお店での対応が どうだったかといった情報を聞くことは、補聴器店を選ぶ際の大きなポイントとなります。

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③認定補聴器専門店かどうかをチェックする

厚生労働省の外郭団体である財団法人テクノエイド協会による、4年がかりの講習を受け、かつ試験に合格した認定補聴器技能者がおり、さらに定められた施設基準を満たした店舗だけに認可されるのが「認定補聴器専門店」です。この認可を得ているということは、補聴器に対して確かな技術や知識を有している店ということ。認定補聴器専門店では、店頭に右のようなプレートが掲げられているますので、まずはこれがあるか確認すると良いでしょう。

片耳だけの補聴器は片目のメガネと一緒。両耳装用を推奨します

人間の耳は、左からの音情報は主に右脳に、右からの音情報は主に左脳に伝達され、左脳と右脳にバランスよく音情報が届くことで、優れた情報処理をおこないます。たとえば、多少騒がしくても、周囲の雑多な音の中から聞きたい声、音だけを識別出来たり、どこから聞こえてきたのか立体的に把握出来るのも、そんな脳の処理機能のひとつです。

片目だけで行動した時、距離感がつかめず歩きにくかったり、片方だけに負担がかかるため疲れやすくなってしまうのと同様、耳も片方だけで聞いていては、正しい聞こえにはなりにくいですし、疲れやすくなってしまいます。

そのため補聴器を装用される場合は、両耳に付けてバランスよく聞くことが大切です。

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よいお店選びがはじめの一歩。補聴器ライフを左右します

使う人に合わせて補聴器の特性を調整することが必要です

難聴の症状は、人によって様々。聞こえてくる音量が違うだけでなく、音域ごとに聞こえたり聞こえなかったりする場合もあるため、個人の聞こえに合わせて、補聴器がどの音を増幅し、またどの音を抑えるか調整する必要があるのです。

補聴器メーカーが提供している自動フィッティングソフトを使用することで、ある程度は自動化出来るものの、やはり細かな部分は人の手で調整するしかありません。また快適な聞こえを実現するためには、実際に補聴器を使ってみた感想を元に、ライフスタイルや聞こえの好みに合わせたフィッティングも重要となってきます。場合によっては、一度の調整では済まずに、何度か補聴器店に通って、フィッティングをしてもらわなければならない場合もありますが、そうして調整した分、快適な聞こえに近づいていきます。

補聴器の性能を最大限に活用するためにも、補聴器を購入した際は、ぜひしっかりとフィッティングをおこなう必要があることを覚えておきましょう。

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  • 補聴器選びの落とし穴

    安価な通信販売は魅力的!?

    インターネットで補聴器を探してみると、店頭で買うよりも安価な価格で購入出来る場合があります。しかし、専門家による調整が必要な補聴器を通信販売で購入してしまった場合、音の増幅や抑制などの調節をおこなえないため、その補聴器の性能は100%発揮出来ないことになります。また補聴器店で通常おこなっている、購入前のアドバイスやカウンセリング、購入後のアフターケアなども通信販売では受けられません。

    金額の差だけで通信販売での購入を考えている方は、補聴器を装用し続ける上で非常な重要な要素であるフィッティングや、店舗でのアドバイス、アフターサービスなどがなくても大丈夫なのか、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。

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