聴力の低下が起きる仕組み

2017年02月24日

聴力低下は誰にでも起こり得ます

聴力低下の原因の90%が加齢によるものや、大きな音に長時間さらされたことで発症するものだと言われています。その他にも様々な原因は存在していますが、いずれにせよ先天的なものでない限り、難聴はすべての方に起こり得るのです。

ここでは、そうやって聴力が低下していく仕組みがどうなっているのか、またその時の特徴について、解説していきます。

① 何歳くらいから聴力の低下は始まる?

加齢による聴力の低下は、非常に個人差が大きいため、一概に何歳からと断定して語ることは出来ませんが、20代から低下が始まり一般的には30代から症状が現れる場合が多いようです。ただし、30代や40代の聴力の衰えは、自覚するほどではありません。

自分の耳が聞こえにくくなったと気がつくのは、急激に聞こえが悪くなりがちな60代となってからでしょう。
70歳を超えた人の平均的な聴力は、通常の生活で聞こえてくる半分程度の音が、日常生活において支障をきたすとされる40デジベルを超えるようになるという調査結果もあります。

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各年代ごとの平均的な聴力をまとめた一覧表がこちら。
40歳代から聴力は下降を始め、60歳代で大きく低下。70歳を越えた人のほとんどが、3000Hz以上の高音域の聞き取りが大きく低下します。

② 聴力の低下は自覚しにくい

加齢による聴力の低下は、左右同時に少しずつ進行していくため、聞こえにくくなっていることに、自分ではなかなか気づけません。また、「聴力の低下=老化」という印象が強いため、少々聞こえが悪くなった程度では、無意識に自覚することを避けてしまっているという側面もあります。加えて、聴力の低下は視力の低下や言語障害などに比べて、周囲が気づきにくいこともあり、周囲からの指摘による気付きも少ないのです。

しかし、聴力の低下は、放っておいたままにしてはいけない重要な問題です。なぜなら、聞き間違いによる誤解などが増えていくと、本人が困るだけでなく、家族や職場に迷惑がかかる場合もあるからです。

適切なコミュニケーションを取るためにも、聞こえが悪いかもしれないと少しでも思うことがありましたら、一度耳鼻咽喉科に相談してみることをおすすめします。

③ 加齢による難聴の特徴

一般的に高い音から聞き取りにくくなる傾向にあります

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内耳の蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官に、生えている「有毛細胞」は、1本1本が違った音域を担当しております。内耳に音(振動)が届くと、その音を有毛細胞が電気信号へと変換し、脳へと伝えます。

音は、低い音域のものほど蝸牛の奥側へ届く仕組みとなっており、蝸牛の手前側から奥に進むに従って低い音を感じるようになっています。そのため、蝸牛手前側に配置されている高音域を担当する細胞は、常に様々な音にさらされ続けていることになります。

音にさらされ続けた細胞は次第にダメージを受け、最終的には破壊されてしまいます。

それは、その細胞が担当していた音が聞こえなくなることを意味します。
以上のことより、高音域から聞こえが悪くなっていくことが考えられます。

ことばを聞き取る力も弱ります

加齢による聴力の低下は、ただ単に、聞こえてくる音のボリュームが下がるというものではありません。例えば母音と子音では、音の周波数が異なるため、加齢などで聴力が低下した場合は、高音域側の子音だけがうまく聞き分けられなくなるなどの症状が出ることもあります。例えば、「さとうさん」が「かとうさん」、「ひろい」が「しろい」に聞こえてしまうため、聞き間違いや誤解が起きてしまうのです。

また聴力の低下は、音の選別能力の低下もまねきます。たとえば大勢でのパーティー中や、雑踏の中で、特定の人物の声だけを聞き分けることが難しくなってしまうのです。

聞き間違いが多くなったり、賑やかな場所が苦手になったなと感じたら、それは聴力が低下している前兆かもしれません。

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④ 様々な難聴の種類と特徴

中耳の働きは音の増幅と耳管による気圧の調節

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耳に届いた音が脳に信号として到達するまでには、耳介から外耳道、鼓膜、耳小骨、蝸牛、有毛細胞、聴神経……と、実に様々な器官を通過します。
その中の、いずれかの部分が悪くなることで、難聴は発生します。

また難聴は、どの部位が悪くなったかによって、伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴という3つのタイプに分類されます。

伝音性難聴

外耳や中耳の障害によって起きる難聴を、伝音性難聴と言います。中耳炎や鼓膜の損傷、病気などが主な原因で、耳にフタをしたような聞こえ方をするのが特徴。なにかしらの処置や病院での治療をおこなうことで治る場合があります。

感音性難聴

内耳内の感覚器官や、脳になんらかの障害が生じて発症するのが、感音性難聴です。加齢や、長期間に騒音にさらされたりすることで起こることが多いとされています。有毛細胞の一部が破壊されるなど、一部の音域のみが聞こえなくなっている場合が多いため、ただ音が聞こえにくいだけでなく、特定の音がゆがんで聞こえたり、言葉を聞き間違えたりしてしまうのが特徴です。

突発性難聴

通常の難聴は、徐々に症状を悪化させていくものですが、こちらは文字通り、突然耳が聞こえなくなる難聴のことです。
その原因はまだ解明されていませんが、ウイルスや血流不全、ストレスという説などが唱えられています。また突発性難聴は、早期治療が非常に重要な病気です。一般的には、発症から1週間以内に治療出来れば、治癒する確率が高いと言われています。

ヘッドホン難聴

ヘッドホンを使って長期間、大音量の音を聞き続けることによって、難聴を発症させてしまったというケースが最近かなり増えてきています。ヘッドホンを大音量で使用した場合、鼓膜に近い場所で強い音が鳴り続けることで、有毛細胞や聴神経などに大きな負担をかけてしまいます。ヘッドホンで音楽を聞く際は、音量や聴取時間に十分注意しましょう。

混合性難聴

伝音性難聴と感音性難聴の症状が合わさって生じる難聴のことを混合性難聴といいます。どちらの障害の比率が高いかで、聞こえ方は大きく変わります。

先天性難聴について

幼年期から聞こえに難のある症状を指す小児難聴は、その多くが生まれつきによるものです。生また時からの難聴を先天性難聴と呼び、その発症率は0.1~0.2%(1000人に1~2人)と言われております。乳幼児は、聞こえないことを自分で意思表示することが出来ませんので、両親を始めとする周囲の大人たちが気付いてあげることが重要です。